知っておきたいサイバーセキュリティ

サイバー攻撃は今や、一部の大企業だけが直面する問題ではありません。
生成AIの普及により攻撃の自動化・精巧化が急速に進み、業種・規模を問わずあらゆる組織がリスクにさらされる時代になりました。
本ページでは、現代のサイバーセキュリティを正しく理解し、自社に必要な対策を判断するための基礎知識を整理します。

  1. サイバーセキュリティとは
  2. サイバーセキュリティの最新動向
  3. サイバーセキュリティに必要な3つの対策
    • 3-1. 技術的対策
    • 3-2. 物理的対策
    • 3-3. 人的対策
  4. まとめ
サイバーセキュリティとは
サイバーセキュリティとは、デジタル上の情報・システム・ネットワークを、不正アクセス・破壊・漏洩・改ざんといった脅威から守るための取り組み全般を指します。
2014年に成立した「サイバーセキュリティ基本法」の第2条にて、情報の安全管理とシステムの信頼性確保がその中核として定義されています。

■サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)

第二条 この法律において「サイバーセキュリティ」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式(以下この条において「電磁的方式」という。)により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置(情報通信ネットワーク又は電磁的方式で作られた記録に係る記録媒体(以下「電磁的記録媒体」という。)を通じた電子計算機に対する不正な活動による被害の防止のために必要な措置を含む。)が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいう。

一般に、サイバーセキュリティ対策は「技術的対策」「物理的対策」「人的対策」の3つに分類されます。重要なのは、これらを個別に捉えるのではなく、組み合わせて機能させることです。どれか一つが欠けても、セキュリティ全体の強度は下がります。

サイバーセキュリティの最新動向
今日のサイバーセキュリティをめぐる状況は、日々刻々と新たなリスクや脅威が発生し、著しく変化しています。また、高度に組織化された情報化社会の中では、Webサイトやブログ、SNS等の様々なプラットフォームを通して、今この瞬間にも膨大に増え続けています。

近年のインシデント事例を見ると、その手口は年々巧妙さを増しています。生成AIを悪用した精巧なフィッシング攻撃、身代金を要求するランサムウェアによる事業停止、取引先・委託先を踏み台にするサプライチェーン攻撃、そして公開直後の脆弱性を即座に突くゼロデイ攻撃——これらは今まさに、国内外の企業で被害が続出している現実の脅威です。

こうした被害は特定の業種や規模に限らず、あらゆる組織に起こりうるものです。そんな中、必要なことは最新の情報を信頼できる情報源から取得することです。以下のようなWebサイトで最新のサイバーセキュリティの動向をぜひチェックすることをおすすめします。

2-1.情報処理推進機構(IPA)
情報処理推進機構(IPA)とは国内のIT関係の戦略を支えるために設立された経済産業省が管轄する独立行政法人です。IPAのサイトの「情報セキュリティ」のページには毎日のように新着情報やセキュリティ情報が更新されています。国として情報セキュリティ対策をどう進めて行くのか指針となる情報が豊富に提供されています。企業の情報セキュリティ担当者として定期的にチェックしておきたいサイトの1つです。
https://www.ipa.go.jp/security/index.html

2-2.国家サイバー統括室(NCO)
2025年7月に、NISCを発展的に改組する形で内閣官房に設置されたのが国家サイバー統括室(NCO)です。組織自体はいくつかのユニットに分かれて活動を行っています。サイトでは主に日本政府が開催した会議・会合の活動報告やイベントの情報などを配信しています。サイバーセキュリティに特化した国家戦略の情報を取得するのであれば、NCOのサイトをチェックしたほうがいいでしょう。
https://www.cyber.go.jp/

2-3.JPCERT/CC
JPCERT/CCは実際にインターネット上で発生したセキュリティ攻撃やサービスの妨害などのインシデント情報を公開しています。特にソフトウェアやサービスの脆弱性の情報をいち早く提供している点が特徴です。公開されている情報は、脆弱性を含んだソフトウェアやサービスのバージョン情報や、具体的にどのような影響があるのかなど、詳細に記述されているものです。
このサイトで脆弱性を配信されているソフトウェアやサービスを自社で使用しているかどうかチェックすることで、セキュリティ事故の発生を未然に防ぐことができるでしょう。
https://www.jpcert.or.jp/
サイバーセキュリティに必要な3つの対策
では、具体的にサイバーセキュリティ対策には何が必要なのでしょうか。
一般的に分類される「技術的対策」、「物理的対策」、「人的対策」の3つに関して解説します。

3-1.技術的対策
技術的な対策は、セキュリティ製品の導入や、侵入を防ぐ取り組みの実施を行うことです。
実施するべき対策を出来うる限りリストアップして可視化することも大切です。
全ての対策を即時に実行できない場合もあるので、必要最低限手をつけることができるものから対策を始めましょう。社内でどの対策を実施できるか議論を重ねることで、サイバーセキュリティ対策における問題を再認識することもできます。

<技術的対策の例>
・WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入
・脆弱性管理サービスの活用(リスク評価・パッチ対応の自動化)
・ゼロトラストアーキテクチャの導入検討
・AIを活用した脅威検知・自動対応の仕組み構築 ・クラウド環境のセキュリティ設定の継続的な監視・最適化
・使用するソフトウェア・ライブラリの定期的な更新
・Webアプリケーション・APIへの定期的な脆弱性診断

社内の取り組みのみで実施出来るものもあれば、外部のサービス・製品を用いるものもあります。自社にとって何が適切であるかを見極めることが重要です。

3-2.物理的対策
物理的対策とは、デバイスや設備への不正アクセス・盗難・災害といった物理的要因に備える対策です。
クラウド化が進んだ現在でも、端末の紛失・盗難や、不正な物理アクセスによる情報漏洩リスクは依然として存在します。
実際に起こりえるかは分かりませんが、万が一のことを想定して、対策を行いましょう。

<物理的対策の例>
・重要設備へのアクセス制限・入退室管理
・業務端末の持ち出しルールとデバイス暗号化
・紛失・盗難時のリモートワイプ体制の整備
・サーバー室・ネットワーク機器の施錠管理
・生体認証・多要素認証の導入

3-3.人的対策
人的な対策はセキュリティに対してのルールを設定する対策です。
技術的な対策を万全にしても、人の行動が起因するインシデントはなくなりません。
セキュリティ教育の実施などの重要性が益々高まっていますが、特に近年は、AIが生成した精巧な偽メール・偽サイト・偽音声を使ったソーシャルエンジニアリング攻撃が急増しており、従来の「怪しいものを見抜く」教育だけでは不十分です。

<人的対策の例>
・生成AIを悪用したフィッシング・なりすましへの対応訓練
・パスワードレス認証・パスワードマネージャーの導入
・多要素認証(MFA)の全社展開
・定期的なセキュリティ教育とインシデント対応訓練
・インシデント発生時の報告・エスカレーションフローの整備
・サプライチェーンを含む取引先のセキュリティ基準の設定

技術・物理・人の3つの対策を実施することでより安全性を高めることができるでしょう。
まとめ
本稿では、サイバーセキュリティについての動向や、どのような対策をするべきか簡単にご説明しました。サイバーセキュリティを理解することは、個人や組織の形が自分を守る為に、必要であることが伝わったのではないでしょうか。
また、自分が被害者ではなく、加害者として他の方に迷惑を掛けてしまうこと。サーバーやパソコンに対しての攻撃だけでなく、メールやメッセージによって直接騙されたり、被害を受けたりする可能性もあるということ。
自分は騙されないと思っている方、自分は被害に会わないだろうと考えている方ほど、悪意のある第三者からの攻撃を受けた時に被害に遭いやすいことも念頭においていただければ幸いです。
セキュリティ人材不足が叫ばれている中では、常日頃からwebの情報はもちろん出来うる限りの情報収集を行い、どんな手口があるのか、自分の所持するパソコンやスマートフォンは最新の状態なのか、少しずつ意識することも大切です。